Aグループ
目的
人工衛星に関わる技術習得
CanSatシステムの作成を通して以下のような技術の習得を目標としました。
- 電子回路
- 機体設計・製作
- 基板設計・製作
- データ解析
- マイコン制御
CanSat競技会への参加
競技会に参加することで、学外の評価軸で幅広い視点を持ち、よりよいCanSatシステムを作成します。今回は植松電機様が主催する「スペースプローブコンテスト」へ参加する予定です。
プロジェクト管理
CanSatシステムの作成において、ソフトとハード両方を扱うこと、競技会という明確な納期があることを意識したプロジェクト管理方法について学んでいます。
スペースプローブコンテストについて
コンテストの流れ
1. ドローンによって高度100mまで上昇後、機体を放出
2. パラフォイルの展開によって減速を行う
3. 空中制御によりターゲットへと機体の誘導
4. ゴール地点へと到達
ミッション
CANSATの空中制御を行い、目標地点への着陸を目指す。
ミッション内課題の解決方法
誘導制御
機体をターゲットへと誘導するアルゴリズムの検討
姿勢制御
本体の投下体制によって、どのような姿勢制御を行うかの検討
パラフォイル
制御に使用する紐の引く量を増やす、または少ない量で制御できる方法の検討
パラフォイルの格納方法の検討
サクセスクライテリア
製作機体
機体概要図
機体
機体はMDFをレーザーカッターで切り出して作成しました。構造としては内部を二層構造として基盤を配置する階層とパラフォイルを収納する階層を設けました。また、機体下部には落下時の衝撃を吸収して基盤などを保護するため、スポンジを使用した衝撃吸収機構を取り付けました。
パラシュート 構造
パラシュートはメインの飛行用パラフォイルと展開補助用のパラシュートの二つを作成しました。素材はパラフォイル・パラシュートともにリップストップポリエステルを使用し、生地を縫い合わせて作成しました。
パラフォイルは空気を取り入れるセルを片側7つずつ設け、飛行時の安定性を向上させました。
パラシュートは展開補助のためパラフォイルの上部に接続しました。投下時には先んじて展開を行い、機体に収納された飛行用のパラフォイルを釣り出すことでパラフォイルの展開補助を行います。
パラシュート 制御
パラシュートでの制御は展開用のパラシュートは使用せず、飛行用のパラフォイルのみを使用して行います。
制御方法としては、パラフォイルの翼後方の紐を左右それぞれまとめて引っ張ることで空気抵抗と重心を変更し進行方向を制御します。
投下動画
©2021未来大学プロジェクト学習15
システム
システム図
制御手順
1. 加速度センサーによって落下検知を行い、システム始動
2. サーボモーターによってパラフォイルの紐を引き、機体を制御
3. 機体が目標地点上空付近に接近したとき、紐を大きく引いてきりもみ落下
アルゴリズム
今回は画像認識技術を用いないセンサー系のみによる制御を行いました。
地磁気から北を基準とした正面方向の角度を求め、目標地点と現在地との距離から角度を割り出し、その差分を修正するように制御を行いました。
スペースプローブコンテスト 結果・考察
投下動画
© 2020 Space Probe Contest 2021
結果・考察
パラシュートが展開しなかった
パラシュートを固定する部品が破損し、展開用パラシュート・飛行用パラフォイルともに展開せず垂直落下してしまいました。着地点としては近隣ターゲットから2.5mの地点となりました。
原因としてはパラシュートを固定していた部品を開放する機構の強度に問題があり、落下の際に想定とは違う部分が取れてしまったことが考えられます。
© 2020 Space Probe Contest 2021
落下検知に失敗
落下検知に失敗し、システムが動作動作しませんでした。
落下時、機体が水平に保たれることを前提にZ軸方向の加速度が減少することを利用して検知を行う予定でしたが、機体が回転してしまったことにより想定したような変化ではなくなってしまったことが原因であると考えられます。
機体の破損なし
垂直落下しましたが、機体の破損はありませんでした。
© 2020 Space Probe Contest 2021
これは落下直後の写真です。機体の下部、つまり衝撃吸収機構が下になるように地面と接触したことが分かります。
この結果により、衝撃吸収機構が上手く機能し、機体に一切破損がなく、内部の基盤も守ることが出来ました。
以下は返送後の機体の写真です。機体に破損が一切見られなく、内部のラズパイも電源が入ることで生きていることが確認できました。
以下は機体を切り出す際に作成したデータで、角には衝撃が強く加わってしまうと考え、なるべく角をつくらないよう意識しました。この工夫も結果に大きく貢献したと考えられます。
銀賞を受賞
© 2020 Space Probe Contest 2021
スペースプローブコンテスト後の課題・実験
課題
スペースプローブコンテストではサクセスクライテリアのミニマムサクセス(60%の達成度)である「CANSATの最低限の制御」を達成できませんでした。
そのため、大会後に以下のような課題を設定しました。
- 落下検知
- パラシュート及びパラフォイルの展開
笹流れダム投下実験
目的
落下検知及びシステムの検証
投下実験動画
©2021未来大学プロジェクト学習15
結果
制御ありと制御なしの投下を比較すると制御ありの投下は0:04頃からを確認して分かる通り機体から見て左に旋回しているのがわかりました。
このことから落下検知と、機体制御が正常に行われていると確認できました。
体育館投下実験
目的
展開補助パラシュートによるパラフォイルの展開
投下実験動画
©2021未来大学プロジェクト学習15
結果
パラシュートで機体からパラフォイルを釣り出して展開させることができました。この結果により、パラシュートが展開補助として作用していることが検証できました。
スケジュール
スケジュール
7月中に制御アルゴリズムの決定・実装や書類審査用の資料の作成、8月中に本番と同等の環境での実験を行い機体を完成させ、9月には同18日の大会に向け資料を作成しました。
大会が延期されたため10月4日にコンテストの本番投下が実施されました。その後、10月から11月中旬までの間に本番データの分析及びコードや機体の見直しを行いました。